日本酒の基礎知識【押さえておきたい】
日本酒は全国各地で製造されており、その種類を正確に分類するとなると膨大な数に。
そこで、日本酒の種類や吟醸と大吟醸の違いなどを解説していきます。
日本酒の知識を得て、商品を購入する際の参考にしてください。
種類は全部で6種類
まず、基本的な分類として「特定名称酒」というものがあります。これは、原料の違いや米の精米歩合で分けられます。特定名称酒は全部で6種類。
名称 | 特徴 |
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純米大吟醸 | 精米歩合50%以下、麹歩合15%以上、アルコールは添加していない |
純米吟醸酒 | 精米歩合60%以下、麹歩合15%以上、アルコールは添加していない |
純米酒 | 精米歩合による規定はない、麹歩合15%以上、アルコールは添加していない |
大吟醸酒 | 精米歩合は50%以下、麹歩合15%以上、アルコールを少々添加 |
吟醸酒 | 精米歩合60%以下、麹歩合15%以上、アルコールを少々添加 |
本醸造酒 | 精米歩合70%以下、麹歩合15%以上、アルコールを少々添加 |
純米酒とは?
リストをみると、なんとなく決まりがわかってきませんか?
日本酒には純米酒というものがあります。この「純米」と名前がつく日本酒は、どれも醸造用アルコールが含まれていません。
純米酒は、水と米だけで造られた日本酒のことを指し、それ以外のものも含まれている場合は純米酒とは呼びません。
一方で、「純米」とつかない商品には、「醸造用アルコール」が含まれています。醸造用アルコールとは、食用のエタノールのこと。これを使うことで、日本酒の品質を保ったり、より香りを引き立たせたり、まろやかな味わいに仕上げられます。
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吟醸と大吟醸の違い
米というのは芯の部分に近づいていくほど、でんぷんが強くなっていきます。そのため、日本酒を作るときには、表面の部分を取り除いて芯の部分のみを使うようにしています。
通常は3割くらいしか削らないのですが、場合によっては4割以上も削ってしまうことも。4割削ったものは吟醸であり、半分以上削った(「磨く」とも言います)ものは大吟醸と呼ばれます。
以上の点について理解しておけば、日本酒の種類を理解できるようになるでしょう。
水と米だけで造られているものは純米酒。その中でも、米が4割削られているなら"純米吟醸酒"。米が半分以上削られているなら"純米大吟醸酒"になります。
もし米が4割削られていて、さらに醸造アルコールが添加されているならば吟醸酒となります。米が5割以上削られていて、醸造アルコールが含まれているものは"大吟醸酒"。米と水に醸造アルコールが添加されているものは"本吟醸酒"と呼びます。
基本的には、米を削れば削るほど米感が薄まり、味に雑味がなく、すっきりした舌触りになるそう。
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これは旭酒造の挑戦
とろけるような甘さとすっきりした後口が特徴の「獺祭(だっさい) 純米大吟醸 磨き二割三分 木箱入り 720ml」。
23%という信じられない数値まで磨いた山田錦を使用した純米大吟醸。「幻の日本酒」と言われることも。
辛口と甘口
ちなみに、日本酒のラベルにはよく「甘口」や「辛口」と書かれていることがありますよね。これは飲んだときの味わいを表記しています。
日本酒を製造する段階で酵母菌の活動が不活発だと、米から発生した糖分が残り甘口に。一方で、酵母菌が活発に活動すると糖分が減り辛口になります。
甘口と辛口は「日本酒度」という指標によって定められます。日本酒度がマイナスになると甘口、プラスになると辛口になります。ただし、実際のところ味わいに関してははっきりとした違いがあるというわけではありません。
傾向としては、甘口は舌触りがまろやか・味にクセがある・濃厚。辛口はすっきりしている・クリア・淡い味、などと評されることが多いです。
日本酒の選び方
覚えておきたい3つのキーワード
まず日本酒選びで押さえておきたいキーワードは「フルーティーな香り」「味の濃淡」「余韻」の3つ。
通販サイトの商品説明を見ても高確率で登場するワードなので、覚えておくといいでしょう。
「フルーティーな香り」
リンゴやバナナなど、フルーツに似た香りの有無は日本酒選びの重要なポイントのひとつ。
別名"吟醸香"とも呼ばれ、その名の通り吟醸酒タイプで多く存在。
一方で純米系はトウモロコシ・小麦など穀物の香りがする品種が多いです。
「味の濃淡」
日本酒本来の旨味を求める方は「しっかり」、飲みやすく軽やかな味の広がりを求める方は「すっきり」を選びましょう。
無ろ過や生原酒、山廃などは、しっかりとした味わいが多く、すっきりタイプは火入れや本醸造酒などに多く見受けられます。
「余韻」
本醸造系には、口の中に味が残らず余韻が短いキレのある銘柄が多数。
一方で、純米系には後味までしっかり残り、長く続く余韻を楽しめるものが多いです。
地域で選ぶ
日本酒は生産地の気候によって味や特徴が異なります。
同じ気候で育った名産の食べ物と相性が良く、山岳部と沿岸部でも特徴や傾向はさまざま。
ここでは、地域別に特徴や人気銘柄を見ていくとともに、日本酒ソムリエ・大森さんがピックアップしたおすすめの銘柄もご紹介します。
北海道
年間を通して寒冷な気候が特徴の北海道は、熟成が遅いため、「男山」「国士無双」といったすっきりキレ味の強い商品が多いです。
また、水の質が良いのも特徴のひとつ。近年は米の開発・研究も進んでいます。
おすすめの銘柄「二世古 特別純米」(北海道虻田郡 二世古酒造)
★【日本酒ソムリエ】大森慎さんのアドバイス 北海道産の「彗星」使用。
フルーティーな香りでお米の旨みと酸味も程良く、最後はすっと切れていく飲みやすい純米酒です。 |
東北
東北は寒冷な気候、高品質な酒米、山の湧き水の好条件が揃った日本酒造りの聖地。
山形県高木酒造の「十四代」や、福島県廣木酒造本店の「飛露喜」など、有名銘柄がずらり。
★【日本酒ソムリエ】大森慎さんのアドバイス 赤、緑、青とラベルが3種類あり、美山錦、出羽の里、出羽燦々というお米違いのラインナップ。
どれも香りが良く芳醇甘口タイプのお酒で、飲み比べが面白いです。 |
関東
実は隠れた日本酒の名産地である関東。特に栃木県や埼玉県などの内陸部で作られる日本酒は、フルーティな味わいが特徴。
栃木県の「鳳凰美田」や、東京の「澤乃井」が人気。
おすすめの銘柄「亮 特別純米 河津桜酵母仕込み 生原酒」(神奈川県足柄上郡 中沢酒造)
★【日本酒ソムリエ】大森慎さんのアドバイス 地元の有名な河津桜の花から酵母を分離して仕込まれたお酒。
華やかな香りが特徴的で甘みと酸味のバランスがとても良い特別な純米酒です。 |
中部
日本酒で真っ先に思い浮かぶのが米どころ新潟県。都道府県別蔵元数全国第一位の、国内最大の地酒処です。
淡麗辛口の商品が多く、日本海側で獲れる魚にぴったりの味わいが特徴。
太平洋側の静岡県は、「初亀」・「開運」など吟醸酒の名蔵が多数。
おすすめの銘柄「大洋盛 純米大吟醸」(新潟県村上市 大洋酒造)
★【日本酒ソムリエ】大森慎さんのアドバイス 国内外で金賞を受賞している評価の高い素晴らしいお酒。
きれいでフルーティーな吟醸香、優しい口当たりでやわらかく上品な味わいが特徴的な純米大吟醸酒です。 |
近畿
近畿の日本酒といえば、兵庫県の「白鶴まる」や、京都府の「玉乃光」が有名。
硬水で作られる兵庫の酒は辛口、軟水で作られる京都の酒はまろやかな味わいの商品がつくられる傾向にあります。
おすすめの銘柄「笑顔百薬」(京都府京丹後市 竹野酒造)
★【日本酒ソムリエ】大森慎さんのアドバイス 農薬を使用しない合鴨農法で作られた京都産の酒米を使用。米の甘みと旨み、そして余韻を存分に楽しめる純米大吟醸酒です。
食前酒または食後酒としても頂ける逸品です。 |
中国・四国
なだらかな山間と、石灰質の地層でみがかれた軟水寄りの水でつくられています。
全体的に甘口でしっとりとした味わいで、日本酒のNo1ブランド「獺祭」は、山口県のお酒です。
四国では高知県が有名で、南酒造場の「南」や、浜川商店の「美丈夫」など辛口の銘柄が人気。
おすすめの銘柄「夜の帝王 特別純米」(広島県竹原市 藤井酒造)
★【日本酒ソムリエ】大森慎さんのアドバイス 全量純米、完全発酵、生酛造りにこだわりを持つ酒蔵さんのお酒。
口当たりまろやかでお米の味わいをしっかり感じながらもすいすいと飲める、万能タイプの食中酒です。
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九州
日本の南側に位置する九州地方は、温度管理が難しいため、あまり日本酒づくりには向いておらず、ほとんどの酒蔵が九州北東の福岡県に集中しています。
しかし独自の手法によって、鹿児島県の「薩州正宗」、宮崎県の「千徳」といった、南国ならではの日本酒を堪能できます。
おすすめの銘柄「鍋島 特別本醸造」(佐賀県鹿島市 富久千代酒造)
★【日本酒ソムリエ】大森慎さんのアドバイス 言わずと知れた鍋島の本醸造酒。
香りはフルーティーで、上品かつやさしい甘さがありながらも最後はきれいに消えていく優秀なお酒です。 |